セラフィーヌの庭
フランスに実在した素朴派の女性画家の生涯を描いた映画、
「セラフィーヌの庭」を観てきました。
2009年のフランス、セザール賞7部門受賞した秀作です。
主人公はセラフィーヌ・ルイ(1864-1942)。
パリ郊外サンリスで家政婦として生計を立てていた彼女は、人を寄せつけず、草木や花に話しかけ、部屋にこもって黙々と絵を描く日々を送っていました。
彼女を見出したのは、素朴派の画家アンリ・ルソーを発見し、天才ピカソをいち早く評価したドイツ人画商ヴィルヘルム・ウーデ(1874-1947)。
ウーデはキャンパスに描かれた色鮮やかで神秘的な花々、その唯一無二の世界に心を奪われ、彼女に経済的支援をするようになりました。
しかし、第一次世界大戦が激化し、ドイツ人のウーデはフランスにいられなくなります。
やもえずウーデはフランスを離れなすが、その後もセラフィーヌは絵を描き続け、十余年経ってフランスに戻ったウーデと再会します。
彼は再び経済的支援をし、彼女の創作活動を助け、セラフィーヌは絵を描くことに没頭していきます。
ウーデの支援のもと、パリで個展を開くことを夢見るセラフィーヌでしたが、
1929年、世界恐慌が勃発。
ウーデのビジネスもその煽りを受け、浪費を繰り返すセラフィーヌへの支払いはできなくなり、個展も延期せざる得なくなります。
セラフィーヌはウーデの金銭面のことなど理解することはできず、激しく動揺し、不安や理解されないという想いにさいなまれ、純粋無垢な彼女の心は次第に壊れていきました。
内容だけ見ると、あまり明るくない話ですが、明るいだけの映画よりこの映画の光は胸を刺します。
セラフィーヌを演じたフランスきっての実力派女優、ヨランド・モローの演技も素晴らしかったです。
口数の少ない役柄でしたが、言葉なくとも伝えることができる素晴らしく力のある役者だと感嘆しました。
普段、硬く口を結んでいるセラフィーヌが木々や自然の中にいる時の穏やかさや、絵を描いている時の静かな狂気から激しさまでも伝える技量は圧巻です。
彼女の新しい出演作、「ミックマック」も楽しみです。
「アメリ」の監督、ジャン=ピエール・ジェネの新作です。
ちなみに彼女は「アメリ」にも出演しています。
「セラフィーヌの庭」は名古屋では名演小劇場で上映されています。
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