画廊若林’s blog

画廊若林は名古屋市東区葵にある画廊です。 展覧会やアート情報について紹介しています。

愛知県美術館「美の神髄 愛知県美術館の名品300」2010/11/26~2011/1/23

名古屋、栄にある愛知芸術文化センターの「美の神髄 愛知県美術館の名品300」に行ってきました。

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■ 公式サイトhttp://www.aac.pref.aichi.jp/

地下鉄「栄」駅から、徒歩3分。市バスや名鉄電車の駅からも徒歩2分ほどでとても便利な場所にあります。
オアシス21から地下連絡通路または二階連絡橋が直結しています。

会期は、2010年11月26日~1月23日です。
※基本的に月曜日が休館日ですが、詳しくはHPでご確認してください。

今回の「美の神髄 愛知県美術館の名品300」では、古美術からプリミティヴ・アートまでを含む3000点余りの「木村定三コレクション」を含む、総数約7600点のコレクションの中から選ばれた300点の作品が展示されています。

会場に入ってすぐの展示室1には江戸時代以前の茶器や掛け軸など、「木村定三コレクション」がメインになっていました。

名古屋生まれの美術蒐集家、木村定三氏(1913~2003)が心血を注いだ3000点を超えるコレクションのすべてが現在、愛知県美術館に寄贈され管理されています。
美術館ではそのご厚志に応えるため、このコレクションを「木村定三コレクション」と名付けたそうです。
陶磁器、特に茶陶が中央に配置されて目を引いていました。

展示室2はかなり広くて、「クリムトの時代」、「キュビスムの版画」等々のテーマによって分けられ、日本画、洋画、版画、彫刻など、幅広い種類の作品が展示されています。

個人的に好きだったのは、「クリムトの時代」辺りの作品。
19世紀末
≪夢みる少年たち≫
オスカー・ココシュカ(1886-1980 オーストリアの画家)の作品。
彼が学生時代に書いた自作の詩的物語の挿絵を基にしたカラーリトグラフです。
色合いがカラフルでかわいらしくも、ちょっと毒のある感じで惹きつけられました。
1/22(土)11:00にはココシュカの作品説明会があるようなので、ちょっと行ってみようかなと思っています。

他の作家の説明会もあるそうです。
詳しくはHPのイベント欄でご確認ください。
http://www.aac.pref.aichi.jp/

あと、その左隣に展示されていた
≪鏡≫
ヴァシリー・カンディンスキー(1866-1944 モスクワ生まれドイツで活動した画家)のリノカット(版画技法の一つで、木材の代わりにリノリウム板を使う版画)。
暗い背景に柔らかな色彩がメルヘンチックで素敵でした。
2/15(火)から「カンディンスキー青騎士展」がこの後の展覧会として待機しているので、そちらも楽しみです。


展示室を抜けた先に木彫のライオンが!
あいちトリエンナーレにも参加されていた三沢厚彦氏の作品です。
彼の作品がとても好きなので、思いがけず再会できて、嬉しいサプライズでした。
休憩を兼ねて、近くにあった椅子に座ってしばらく眺めました。

この先の展示室はテーマ別に、「顔」、「戦後から現代」、「宇宙」、「動物」、「木村定三コレクション修復作品」と続いていきます。

「顔」の展示室には、タイトルどおり肖像画や仮面?などが展示されています。
小さめなスペースの展示室ですが、大小様々な顔が壁面を囲んでいると威圧感がありますね。

私が興味を持ったのは、
≪思想家≫
ラインハルト・セビエ(1956~ ノルウェーの画家)の作品。
紙だけではなく布をコラージュしてあり、さらに絵の前に彩色されたアクリル板がフィルターのような感じで設置されていて面白いなと思いました。
描かれている人物(思想家)の表情は、決して楽しそうには見えない苦悶が滲んでいて、なんだか辛そうだけど、キュッと結ばれた口元やその眼差しに意志の強さのような硬質なものを感じる存在感ある作品だなと思いました。

≪高須光治君之肖像≫
岸田劉生(1891-1929 日本の洋画家)の油絵。
「麗子微笑」などで知られる近代日本を代表する洋画家です。
展示されていた作品は友人である洋画家の高須氏の肖像画です。
絵ってここまで表現できるんだなと思わず感嘆。
その人物の内面までが伝わってくるような、たんなる写実を超えた表現力に惹きつけられました。

「戦後から現代」では現代アート、抽象画などが展示されています。

今年の5月に他界した荒川修作氏(1936-2010 現代美術家)の作品もありました。
≪作品≫
名古屋市美術館の常設展でも何点か作品を見たことがありますが、いつ見ても不思議。
岐阜県の養老にある天命反転地にも行きましたが、不思議。
5年前に開かれた「荒川修作を解読する」展に行っておけば良かったなと悔やまれます。

「宇宙」の展示室には、
≪語りえぬもののための変容No.18、No.23≫
加納光於(1933~ 版画家)の自製のエンコ-スティック(蜜蝋に顔料を溶かした絵具)が使われた作品です。
それを紙の上にたらし、透明のフィルムを当て、動かし引きはがすことで絵柄をつくり出すそうです。
モノクロで流動的な絵柄は雲の中や水の中、または宇宙を連想させてくれました。

「動物」をはさんで最後は「木村定三コレクション修復作品」。
木村定三で始まり、木村定三で終わる感じですね。

すみません、実はこの辺になると集中力、気力ともにきれぎれでした。。
個人差はあるかと思いますが、私は約2時間程の時間でまわりました。
展示室2を見終わったくらいで一度出て、お茶して休憩した方がもっと余裕を持って見られるかと思います。
半券を見せると再入場できるそうですよ。

10月まで開催されていた「あいちトリエンナーレ」のような派手さはありませんが、渋好みの重厚感ある所蔵作品展でした。
休日にのんびりと芸術鑑賞するのにお勧めな展覧会です。


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