画廊若林’s blog

画廊若林は名古屋市東区葵にある画廊です。 展覧会やアート情報について紹介しています。

愛知県美術館 「円山応挙展- 江戸時代絵画 真の実力」 2013/3/1~2013/4/14

3/1(金)から始まった愛知芸術文化センターの「円山応挙展- 江戸時代絵画 真の実力者 -」に行ってきました。

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■ 公式サイト:http://event.chunichi.co.jp/okyo/


地下鉄「栄」駅から、徒歩3分。

市バスや名鉄電車の駅からも徒歩2分ほどでとても便利な場所にあります。
 オアシス21から地下連絡通路または二階連絡橋が直結しています。

会期は、2013年3月1日~2013年4月14日です。
※基本的に月曜日が休館日ですが、年末年始の休館もあるので、詳しくはHPでご確認ください。


今回の「円山応挙展- 江戸時代絵画 真の実力者 -」は、若年期の「眼鏡絵」や約障壁画、屛風絵などの国宝・重要文化財や展覧会初公開作品を含む約60点が、国内各地の美術館や寺院から集められ、展示されています。

大乗寺客殿の空間を再現した障壁画の展示では、数分の間に照明の明るさが変化し、一日の日の光が表現されています。

光の移り変わりとともに表情を変えていく作品を見ることができて楽しめました。

円山応挙(まるやま おうきょ- 1733~1795)
江戸時代中期の18世紀、京都画壇で圧倒的な人気を博した画家です。

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近現代の京都画壇にまでその系統が続く「円山派」の祖。

「写生」を基本とした親しみやすい画風が特色ながら、大胆・軽妙に筆を操りながら、リアルさを感じさせる驚異的なテクニックなど、応挙の作品にはたくさんの革新と魅力に満ちています。


「応挙寺」として知られる、「大乗寺」(兵庫県・香住)の障壁画二部屋を再現した展示は、迫力があって見どころの一つです。

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照明の明りが自然光に近い形で障壁画を照らすように工夫されています。

 当然のことながら、江戸時代では天井から光を照らすということはなく、部屋に差し込む日の光、夜はロウソクの灯で照らされていたわけです。

照明の明るさや色調が変わるようになっていて、明け方から日暮れまでの光の移り変わりが、数分の間に見られます。

江戸時代中期の画家といえば、伊藤若冲も有名ですね。
昨年は没後200年ということもあって、特別展などがあったり、さらにその名を知られることになりました。

写実と想像を巧みに融合させた「奇想の画家」。  
独特の色使いと画風で、見るものをその世界に惹きこみます。

実は、応挙と若冲、生きた時代が重なるそうです。
それも住んでいたのは、京の四条界隈。
道ですれ違うなんてこともあったのではないかと思います。
けれども、二人がお互いを語ったことを示す文献などは残されていないそうです。

都の画壇を席巻し、門弟千人を抱える「時代の寵児 応挙」と、
「孤高の天才絵師 若冲」。


若冲は応挙より18歳年上。
けれども、絵を本格的に始めたのは30歳を過ぎてからなので、絵かきとしては同期なくらいかなと思うのですが、お互い、敬して遠ざける間柄だったのでしょうか。

展覧会は五章に分けられて展示されています。

第一章 「リアルに見えること」の追求

第二章 伝統としての写実

第三章 現実空間と連続性=トリックアート

第四章 技法への確信

終 章 応挙画はなぜ好かれ/嫌われたか?

個人的に興味深かったのは、第四章で展示されていた
「龍門鯉魚図」
遠目に見た時、ただ線が縦に何本かひかれているだけなのかと思った 笑

鯉が滝をのぼるところを描いたものだったのですね。
その表現の発想、技法は驚きでした。

ユーモラスにして挑戦的な応挙の視点を感じることのできる良い展覧会でした。

個人差はあるかと思いますが、約40分ほどで回れました。(常設展除く)

常設展の会場の一角で、若手作家の佐藤香菜さんの展示もされていて、そちらも楽しめました。
動物、植物のモチーフに画材だけではなく、糸やビーズでの刺繍が施されて、立体感がおもしろかったです。

4月14日(日)まで、愛知県美術館で開催中です